「中国人富裕層の実像」、こぼれ話

                                 姫田小夏

先日のサダナオコ講師をお迎えしてのセミナーを開催しましたが、「富裕層の実像」というテーマもさることながら、それ以外に日本と欧州企業を比較するいい機会にもなりました。私もいろいろと学ぶ点がありました。

 

まず、中国ビジネスの展開では「大変な思い」をしているのは、イタリア企業も日本企業もまったく同じ、ということです。アンチダンピングなど中国を牽制する措置をとれば、中国もまたそれに対抗して、いわゆる「嫌がらせ」に出る・・・そんな構図はまったく同じようです。

 

ビジネスそのものも、政府のつながりを重視し、人脈を肥やし、国家間のもめ事があれば税関で荷物が止められる、ライセンスを取得するのは一筋縄ではいかず、というように、悩みのツボは日本企業と同様で、彼らにとっても「中国は決して簡単なマーケットではない」ということがわかりました。

 

今でこそ、このイタリアのハイエンドブランドの店舗は中国全土で84店舗になったといいますが、実態はオープンもあればクローズもある。勢いのある店舗展開にも、やはり腐心の跡が見られます。決して欧米企業だから順調、というわけではないようです。

 

欧州企業も悩む「人材戦略」

 

人材戦略も頭を痛めているということも日本企業とまったく同じ。中国人スタッフは①早くポジションが欲しい、②語学はできるが接客力はない、③すぐに辞める、といった傾向は日本企業も共通するところで、欧州企業だとて名案があるわけではありません。

 

採用時に「なぜこの会社を選んだのか」という質問に対して、「有名だから」が9割を占める、そんなエピソードも。日本でならば打てば響くように返ってくる「ファッションが好きだから」「このブランドがホントに好きだから」、そんな答えはほとんどないそうです。

 

また、年度末に中国人スタッフに自己評価をさせると「10人中10人が10点をつける」のだとか。一人一人に「己の現実」を悟ってもらうには骨が折れる、そんな話もありました。

 

確かに応募してくるのは優秀な学生たちで、それなりに受けてきた教育に対するプライドもあるし、要領もいいから早く目標を達成することができるらしいのですが、「入社1年でポジションを欲しがるのには閉口する」とも。結局、会社側が期待をして投資しても半年でいなくなる、そんな現状だそうです。

 

それでもやはり世界の中で最重要視するのは中国市場だそう。確かに日本の企業にとっても同じで、やはり中国抜きには成長は語れない時代です。しかしながら、散見できるのは、「遠隔コントロールをしたがる日本企業が多い」ということ。サダ講師はきっぱりと「遠隔操作はムリだ」と言います。私もまったく同感で、「中国人社員に任せておけばいいや」の気楽さで、遠隔コントロールしようとして失敗した日本企業をいくつも見ています。

 

中国人富裕層を理解する一方で、私も含めて参加者のみなさんも、この市場の難しさを垣間見たのではないでしょうか。「中国、簡単な市場ではない」――、次回64日も引き続きその点に迫ってみたいと思っています。