出荷制限、解除に向かう日本、次なる課題は国際社会の信用回復

                                 姫田小夏

地元の食品スーパーで、412日、「茨城県産かき菜」が販売されているのを目撃した。おかしいな、原発事故を受けて出荷制限がかかっているはずなのに、と農水省のHPで確認すると、やはりまだ解除はされていなかった。解除されていたのは群馬県産のほうれん草とかき菜だけだった。

ふだんから安かろう悪かろうで知られているスーパーだったから、「そこまでやるか!」の驚愕もあった。そこで同スーパーに突っ込みの電話を入れた。

「どういうルートで店頭に並べられたのです?」

「おかしいですね、出荷制限のかかっているものは、そもそも売り場に出ないはずなんですが・・・ちょっと売り場見てきます(担当者、階下の売り場を見に行く)。やっぱりそうでした、店頭に並んでます。詳細を確認してのちほど連絡させてもらいます・・・」

 

その後、地元の食品スーパーから連絡が入った。

 

「かき菜と『小松菜の菜花』と『ちんげん菜の菜花』の総称として業界が使っているもので、うちが販売したのは『小松菜の菜花』。農水省が言うところのかき菜はまた別のかき菜です」

と、よくわからない説明だが、担当者は一生懸命「かき菜違い」を主張した。

 

似たようなことが大手スーパーのイオンで起こった。13日、出荷自粛野菜を販売していたことをイオンが発表した。同スーパーで販売していたのは、千葉県産のサンチュ。これもまた出荷制限がかかっている野菜だ。関東のスーパー57店で330日~47日の9日間で2200パックを販売した。独自に検査し暫定基準を下回っていたために店頭に並べたらしい。

 

見えないから不安

 

出荷制限はそんな混乱を招いた一方で、街では葉物野菜はたたき売り同然の価格で売られている。

 

ニラ二束98円、水菜78円、小松菜48円・・・。出荷制限がかかる福島、茨城、栃木、群馬の4県、そこの生鮮モノは制限対象であろうとなかろうと、敬遠されているからだ。

 

さて、そんな混乱の中で「実態が見えないから不安なのだ、ならば安心かどうか自分たちで証明しよう」と大学と協同で自主検査に乗り出した生産者もある。

 

果たして汚染されているのか。それを物語るのが数字。この分析結果を添付しての販売を開始したところもある。すると、消費者は茨城県産を買うように。「ちゃんと測定しているから安心」、と消費者も再び茨城県産の野菜を手にするようになった。

 

日本は危険な食品は流通していない

 

417日、緊急災害対策本部は、放射性物質が基準値を下回ったことから、出荷制限の解除を行った。福島県のホウレンソウなど非結球性の葉物野菜類、キャベツなどの結球性の葉物野菜類などに制限がかけられている状況ではあるが、「ほとんどが解除に向かっている」と農水省担当者は話している。

 

先日、上海の友人が「日本人は今、いったい何を食べているのか?」と尋ねてきたが、彼女たちは「日本の食品は全滅だ」と思い込んでいるようだ。

 

残るは「国際社会への説得」だ。危険な食品は流通していない、という日本の主張をどこまで聞き入れてくれるのか。

 

風評被害の克服、中国ビジネスでも同じテーマを抱えている。なかには「売上げ半減」となってしまったところもあり、過去に例を見ない苦しい状況が伝えられてくる。

 

「日本の水、海水、空気、の汚染濃度を日々定点観測したものを公表し告知する、その地道な努力しかない」と某自治体の管理職は提案する。同氏は中国にも駐在経験を持ち、中国人の性格を熟知した人物でもある。

 

またデータの提供だけでは、数字が一人歩きしてしまうケースもあり余計リスクを抱えてしまうことにもなりかねない。ある専門家は「そのデータを一般市民にわかりやすく説明すること」と指摘していたが、確かにこれはもっともなことだと思う。

 

筆者も及ばずながら、「日本には危険な食品は流通していない」と中国で発行されている週刊誌で書かせてもらった。とにかく、安全であることをアナウンスするしかなく、我々にできることは、こうした地道な作業でしかない。

 

ちなみに「風評被害と現実の乖離」について422日掲載の「ダイヤモンドオンライン」で取り上げました。同サイトの「中国は今」をご覧いただければと思います。