埼玉県の県立高校生との交流から③

                                 姫田小夏

皆さんは日本の将来を背負う「中国エキスパート」

 

昨年11月に訪れた埼玉県立和光国際高校。授業時間を使って、「国際社会って何?」という問題についてお話させてもらった。自分たちが数年後に迎える就職活動、そしてその先の将来に待ち受けていること、について、「上海で働く日本人」としてメッセージを送らせてもらった。

後日、同校の中国語の先生から姫田のもとに封書が届いた。開封すると生徒さんたちが書いてくれた、アンケート形式でのメッセージが入っていた。

「姫田さんのお話で一番印象に残ったのはどのようなことですか?」

「その後、自分の考えや行動に変化はありますか」

 

これを読んだら、もう少し生徒さんたちと対話ができれば、という気持ちが強くなった。特に3年生はもう卒業。いつまたどこで会えるかわからない、となると一刻も早くこれを書き上げなければ、と焦った。卒業間近の3年生には、ぜひこのページをクリックしてもらいたい。11人が寄せてくれた言葉にコメントや感想を書かせてもらった。

 

Aさん

「中国の人たちは世界をみていることにびっくりしました。日本人はまだ大丈夫・・・と思っているうちに中国に抜かされていて、気づくのが遅い」

「今まで中国語は普通に授業のうちのひとつと思って、結構気を抜いていたけれど、姫田さんの話を聞いて、もう少し気を引き締めて頑張ろうと思いました」

 

姫田からのコメント

「そうなんです、『まだ大丈夫』って思っている日本人が多いので、私もそこをとても心配しているんです。みんなにもそれをわかってもらいたかったんです。そして『まずい』と思ったら、今何ができるのか・・・。まずは中国語だね、頑張って下さいね!」

 

Bさん

「これからの日本で生き残るためには(社会的に)、中国に対する教養が必要不可欠ということが印象に残った」

「大学でも中国語を選択してみようかな、と思いました。『語学+α』で何かを持っている人になれるように努力したいと思うようになりました」

 

姫田からのコメント

「これからは『中国を理解できる日本人』が人材となる時代です。そのためには『中国の今』をじっくり分析してください。できれば一度、短期でもいいから中国に留学するのもいいね。大学の4年間で『語学+専門性』を磨いてね!頑張って下さい!」

 

Cさん

「これから中国語が本当に必要になる、ということが印象に残った。わかっていて選択した中国語だけど自覚が深まったと思う」

「中国に住むと性格変わりますか?」

 

姫田からのコメント

「変わると思う!それもいい意味で。中国語で求められる答えはたいてい『好』か『不好』、『是』か『不是』、だから、会話の受け手である私たちも『はっきりした性格』になれると思います。少なくとも決断力は格段にアップすると思いますよ!」

 

Dさん

「中国語を今まで以上にまじめに授業を受けるようになりました」

「兄が中国人に値段を中国語で言ったとき、声調を間違えたのか、バカにしたように笑われたらしいのですが、中国人は割と人をバカにする方なのですか」

 

姫田からのコメント

「そういうストレートな部分は存在します。中国人同士、遠慮のない突っ込みはしょっちゅう。バカにされた相手も負けてない。だから、笑われたら『xiao shenme?』(何笑ってるのさ~)と言い返すのも手。最後は打ち解けて仲良くなれるのが中国人です」

 

Eさん

「高校3年生のレベルで今使っている教科書はまずい、と言われたのが驚きました」

「大学でも中国語を学びたいと思った」

 

姫田からのコメント

「ぶっちゃけな言い方だったけど、私は教える内容やその速度、生徒たちの定着度などからして日本の語学教育に不安を感じています。卒業時点で世界の同じ年齢の人に混じって仕事をしようと思えば、どう考えても今の教育の在り方を変えてもらう必要があると思っています。けれども学校が変わるのは時間がかかる、だから個人個人が危機感を持って立ち向かわないとダメなんだと思っています」

 

Fさん

「印象に残ったのは、最初に『あなたたちのやっている中国語は甘い』とおっしゃったことです」

「今は中国語を勉強する時間はないけれど、大学に行ったらもっと真剣に勉強したいと思いました」

 

姫田からのコメント

「今、高校生の段階でやっている中国語がどれほどの意味を持つことなのか、やっているみんなはまだピンと来ないと思います。私も高校時代、第二外国語は中国語だったけど、その意義は30歳過ぎてようやくわかった。高校生という頭の柔らかいときに吸収した中国語は、いずれみんなの財産になる、だから教える方も教わる方ももっと『真剣勝負』してほしいと思っています」

 

Gさん

「とにかく留学したいと思いました」

 

姫田からのコメント

「ぜひそうしてほしいです。百聞は一見にしかず、です。この年齢で見たり聞いたたりしたことは、あなたの『原体験』となって、これからの将来に大きな影響をもたらしてくれるはずだと思います。留学もまた若い時代の『今しかできない』ことのひとつかもしれません」

 

Hさん

「印象に残ったのは、中国の、勉強に対する姿勢、中国の教師の偉さ、これから中国語を学ぶことの大切さ」

「大学でも中国語を勉強しようと決意しました」

「日本と中国、住みやすいのはどちらですか」

 

姫田からのコメント

「中国は仕事しやすいところ。チャンスもたくさんあって、みんなやる気に満ちています。でも逆に言えば『お金儲けの場所』、だから日本に帰ってくるとホッとします。日本にあって中国にはないもの、中国にあって日本にないものが結構多いので、選択に迷います」

 

Iさん

「姫田さんの『自分の目で、行ってみて伝えたい』という思いが印象に残った」

「メディアを通して伝わってくる情報が必ずしも正しいとは限らないから、多方面から物事を考えられる視野を持ちたいです」

 

姫田からのコメント

「ぜひそういう視野の持ち主になってください。実際に中国に行って、いろんな人と出会って、おしゃべりすると、『そうだったんだ』の発見がいっぱいあります。そのためにも中国語、ぜひ頑張って下さい!」

 

Jさん

「姫田さんが自分で見たものしか信じない、と言っていたことが印象に残った」

「改めて中国語を選択してよかったと思いました。またお話聞きたいです」

 

姫田からのコメント

「どうもありがとう!そう言ってもらえるとうれしいです。私も今こうしてみんなのアンケートを読ませてもらって、またどこかで会いたい!と思いました。中国語、頑張って下さい!」

 

Kさん

「中国での事件(子どもを見殺しの)には、中国独自の時代背景があるというお話」

「中国がやっていることのすべてが正しいとは思えないけど、彼らには彼らなりの事情があるんだなということは常に念頭に置くようになった」

「姫田さんは私と同じ位の年齢のときに何になりたかったのか」

 

姫田からのコメント

「まだ明確な将来像というのはなかった気がします。でも当時、頑張っていたのは中国語とベンガル語(インドの言葉)でした。また、現場をレポートするのが好きで、ベンガル語を学ぶ仲間たちに向けた会報誌のようなものを編集してました」

 

Lさん

「印象に残ったのは、これからの世界でいかに中国語が必要かということ」

「その後、教科書を読み込むようになりました。ニュースも興味を持って見るようになりました」

「いつか中国に行きたいと思っているのですが、どこに行くのがおすすめですか?あまりガイドブックに載っていない、中国の方しか知らない、隠れたおすすめスポットがあれば知りたいです」

 

姫田からのコメント

「上海は意外に観光スポットは少ないんです。でも隠れたB級グルメは星の数ほどあります。地元の人しか入らないお店を写真を撮りながら、一軒一軒食べ歩くのはどうでしょう?上海には中国各地の味があって楽しいですよ。あとは虹口サッカー場の『夜市』はおもしろいかも。中国人は激安雑貨をここで調達しています」

 

Mさん

「幼稚園のトイレの話が印象に残りました」

「語学に力を入れようと思った」

「なんで中国はパクるんですか?」

 

姫田からのコメント

「当時はまだ一本の川のようなトイレをみんなでまたぐというのが普通でした。ところで、パクる行為は、最も時間とお金が節約でき、それでいて儲けが見込める商売です。ニセモノを売ってその日の暮らしをつないでいる生活困難者もいます。けれども、ニセモノ依存症はよくない、それを続けていると今度は自分で『オリジナル』が生み出せなくなってしまうからです。一方で、LVやシャネルなどのニセモノを、ニセモノと承知で買っているのは外国人。外国人が高い値段で買うから儲かる商売、と思われているフシもあるんですよ」

 

Nさん

「姫田さんの『自分の眼で見るまでは信じない』という信念が印象に残りました。実際に中国で気になったことがあったら、見に行ってから記事を書くというところがすばらしいなと思いました」

「今までは中国について知らないことばかりでしたが、中国語だけでなく中国での気になったニュースもチェックしないと!と思うようになりました」

「先日はありがとうございました。英語もやらないと!と再認識しました」

 

姫田からのコメント

「中国を知って、中国語を話せて、ようやく中国の人と交流ができます。その交流が楽しい!と思えるようになると、ますます中国語にハマります。自分の仕事も楽しくなります。楽しく仕事をする社員がいれば会社の業績も上がります。日本経済もよくなります、日中関係もよくなります。要はみんなの、11人の中国語がどれだけ大事なのかということです!」

 

Oさん

3月の地震での日本人の対応を、中国人が知って日本人を尊敬したこと。レジで並んで物を買ったりすることは、大変な状況下でも当然のことだと思っていたけど、中国では信じられないことなのだと知りました。信号がなくても事故が多発しなかったことは、私も実は結構驚きました。こういう日本人の美点が世界で認められるのはうれしいです」

「とにかく語学が大事と強くおっしゃられていて、英語や中国語に対する自分の取り組みが本当に変わりました。自分の将来には関係のないことだから、と思っていたのですが、どんな形で外国の方と出会う機会があるかはわからないですね。そう思ったら、頑張らなければなと思いました。週3時間の中国語の学習時間を大切にしたいと思いました」

 

姫田からのコメント

「震災後、中国の人が等身大の日本人の姿を心に刻んだことは大きな意味を持ちます。今でも私は上海で『日本人はたいしたもんだ』と言われるんです。また各国から集まる留学生の中でも、日本人留学生は『約束を守る』『マナーがよい』などの点で評価が高いです。だから、言葉を学んで、堂々と、日本のいいところをもっと伝えてあげて欲しいのです。次世代のみなさんに期待しています!」

 

最後に

3年生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。本当は直接お話をしたかったのですが、こんな形でメッセージに託しました。少なくとも「高校で中国語を学んだ」みなさんは、日中経済を橋渡しできる貴重な人材のタマゴです。自信を持って、中国語をものにしてください。そして中国には日本のいいところを、日本には中国のいいところを伝えられる、そんな交流のつなぎ目になってください。みなさんの成長を楽しみにしています、そして影ながらその成長を応援しています。またいつかどこかでお目にかかれればうれしいです。再見!