2012年春節後の上海の景気

                                 姫田小夏

春節を過ぎた上海の市況だが、決していいとは言えない。むしろ昨今は、景気悪化がより顕著に現れつつある。「つい数ヶ月前の2011年末の状況とは打って変わって・・・」、というのが個人的印象だ。

 

上海の街でタクシーが拾いやすくなったことに違和感を感じないではいられない。出勤時のピークでも「空車」が目立つようになった。「雨の日の5~6時」と言えば、かつてはかなり緊張感が走ったものだったが、最近はそれでもタクシーに乗車することができる。

 

レストランも以前とは異なる。往時は賑わいを見せていた虹橋開発区の某店も空席ばかりが目立ち、回転が悪い。かつては予約無しで入ることはできなかった店だけにショック。22時を前に従業員がそそくさと掃除を始め、早々と閉店するのには驚いた。

 

街ではワインの安売りも始まった。それこそついこの間までは価格は軒並み上がる一方だった。これまで高値維持(基本は50元以上)で、ガンとして安売りを避けていたそのワインもついに変化を見せるようになったようだ。昨日、古北カルフールではそこそこの中国ブランド(グレートウォール)がたったの14元で積まれていた。

 

徐家ホイの家具街には買い物客らしき姿はほとんどない。目に入るのは、店舗からサンプル家具を積み出すトラックだ。家具屋が軒並み潰れているのだ。特に紅木の高級家具屋があちこちで閉店している。

 

街中には空き店舗も増えてきた。「最近は住宅がダメだから、店舗に投資」という話も流行っているが、住宅が悪くなると「店舗に投資が回る」のは過去お決まりのパターンだ。

 

投資云々以上に空き店舗がゴロゴロしているのが現実。拡大よりも縮小、というムードが非常に色濃く漂っている。

 

それでも古北新区は強気だ。房東(大家さん)も更新時にはここぞとばかり賃料を上げようと狙う。しかし、もはや常軌を逸脱したテナント料に店子の流出が止まらない。「そのうち古北はゴーストタウンになるのではないか」とまで言われている。

 

地元企業経営者も在庫を抱え、困惑を隠せない。

「過去、在庫がはけないと言っても数百万円程度で済んでいた、ところが今回は1.5億円も抱えてしまっている」

 

取引先の中国企業の様子がおかしいという。上海資本のこの企業経営者はこの先の見通しの悪さを危惧している。

 

景気が悪くなると歓迎されるのはいつも決まって日本の企業だ。「当座の穴埋め」とでも思われているのだろうか。日本企業もこうした時流の変化をよく見極めたほうがいい。

 

他方、ものは考えようだ。堅実なビジネスをやるにはこの時期は悪くはない。バブルの泡が消えようとすると同時に、はたと我に返った中国人経営者たちが、「持続可能なビジネス」に目を向けていることは確かである。

 

「不動産投機」から「持続可能なビジネス」へ。果たして次の時代はどんなビジネスが市場を牽引するだろうか。