中国語学習者が減っている?

                                  姫田小夏

これはにわかに信じられない話だ。

 

昨今、日本のサラリーマンでも手にしているのは「中国語会話」の一冊。ヘッドフォンで聴いているのも中国語会話だ。いまどき、これなしでは仕事にならない。

 

しかし、教育の現場では異変が起きている。

 

「今年度に入り、中国語を専門で学ぼうとする学生の減少が起こっている」とする学校が続出(?)しているのだ。

 

埼玉県のA高校はここ10年間の中で「歴史的な半減」をした。また、中国語学習にかけてはどこよりも熱心、と言われているB高校も「やっぱり減った」そうだ。

 

東京外国語大学では、中国語志願者の倍率が大変低くなったとも。

 

その一方で、大学の「第二外国語選択」は横ばい。中国語教育の専門家は「必修であるなら役に立つ中国語、単位がとりやすい中国語、という動機で履修するので、学生数は減らないですね」とコメントしている。

 

さて、世の中、何がどう変わっているのだろうか。

 

中国語を選択する学生が減った理由に、「もう中国人には叶わない」と白旗を振った学生はいないだろうか。

 

外国語の習得能力、実践能力は中国人が格段に上だ。中国人の話す日本語は日本人の話す中国語とはまったくレベルが違う。「今さら勉強しても」、そんなムードが支配してはいないだろうか。

 

ひょっとしたら、世界的に「世界の工場中国」からの引き潮ムードが、学生の心理を東南アジア、南アジアにシフトさせているのかもしれない。「いまどき中国は古い?」というイメージが形成されているとも考えられる。

 

あるいはここのところ続いているネガティブな中国報道のせいだろうか。

商標権侵害、高速鉄道事故、尖閣をめぐる対立、スパイ事件などなど、「こわ~い中国」を思わせる報道は相変わらず続いている。「怖い中国、怖い中国人は苦手」、と後ずさりする学生もいるのかもしれない。このほど「言論NPO」が行った世論調査では、日本人の対中感情について「84%が否定的」という過去最悪水準の結果となった。

 

中国語を専門に勉強する若者が本当に激減しているのかどうかは、データがない以上定かではないが、確かに「中国嫌い」の若者が増えたことが原因とも考えられる。

 

一方で、目につくのは「英語教育」の宣伝。世の中では国際化だから英語がペラペラ話せなきゃ!、というムード。英語以外の言語には手がまわらないと思い込む、というのもありそうだ。

 

事情通によれば、大学によっては「第二外国語を削って英語の授業を増やそう」と画策するというような本末転倒な事態が起こっている、とも。

 

興味深いのが、教育の現場と日本のビジネス界における、供給と需要のズレもあるのではないか、という意見だ。

 

――世の中は中国語教育に何を求めているか?それが即戦力となる教育なのか、それとももっとゆるやかな相互文化理解の域にとどまるものなのか。

 

――学生にとって中国語を学ぶメリットとはなんだろうか。中国語を学習して就職に有利になるのか?「これからは中国語だ」と言って中国語学習を始めた学生たちに本当に「これから」があったのだろうか?

 

何のために中国語を学ぶのか、中国の人とつながるとはどういうことか、つながった先に何を目指すのだろうか。

 

77日、チャイナビズフォーラムでは、そんな教育現場の声と、ビジネス界、そしてこれからのグローバル社会をクロスさせるチャレンジをします。さまざまな立場の方々とのディスカッションを通して見えてくる「中国語の未来」にご期待下さい。