またしても「尖閣」!

                                姫田小夏

910日、日本政府が魚釣島の国有化を決定したため、中国は緊張感を高めています。

 

11日、多くの新聞は「主権は絶対譲らない」と見出しを掲げ、本日12日の朝刊に至っては新聞紙面まるごと(24頁)魚釣島の記事で埋めたメディアもありました。こんなことは前代未聞です。もはや「中国、ブチ切れ」と言った感じです。


 

地下鉄の車内ディスプレイは「日本は火遊びして自分で火傷する」という内容の報道を繰り返し、すでに画面はミサイルが飛び交うイメージをガンガン多用しています。

 

しかも、ついに魚釣島の天気予報まで始めました。本日912日の天気は小雨、気温は25度、というニュースを流しました。フィリピンのスカボロー礁でも同じ手を使ったことは記憶に新しいですね。

 

中国ではこれまで水面下で戦争論を説く過激派もいましたが、基本的に大手メディアは「そんなことはあり得ない」と、最後はそれを否定するのが記事の「オチ」でした。けれども、今はもう「それしか選択はない」という感じの空気に染まりつつあります。

 

上海人など都市部在住の住民は比較的冷静なので、これまで「またいつものことか」という程度の関心度でしたが、メディア(=政府)が煽りに煽っているので、今後これがどうなるのか不安。彼らが「軍国主義ニッポン」を叫び始めたら、ますますもってやりづらくなります。事実、日中経済にもあちこちダメージが出てきています。

 

中国では、政治も経済も行き詰まった日本が尖閣をガス抜きに利用している、と思っています。彼らには「窮鼠猫を噛む」のは日本だとしか映っていません。

 

解放軍の出番はまだまだ先だとは思いますが、海上巡視船のぶつかりあいは必至。ここで中国側に傷をつけようものなら、たちまち火を吹くでしょう。

 

20109月、ちょうど2年前にも同じことが起こりました。解決は決して容易なことではなく、年が明けても双方は互いの不信感を引きずっていました。(ある意味3.11が対立をリセットさせたところがありますが)

 

そして今回も。互い政治的パフォーマンスをエスカレートさせる一方で、グローバルに経済を展開しようとする企業戦士はまたしても不安のどん底に突き落とされています。ようやく契約直前にまでたどり着いたプロジェクトも水泡に帰す、そんなことが各地で続発することは容易に想像がつきます。

 

縮小する日本経済が、どうにかこうにかグローバル化を推し進めようと必死にもがく今日において、日本政府はあたかも時代を逆行させているかのようです。

 

いつも小さくなっている日本が今度ばかりは大胆なポーズに出たとは思いますが、しかし、その先の読みはどうなっているのでしょうか。

 

果たして振り上げた拳をどうおさめるのでしょうか。日本には本当にこの選択しかなかったのでしょうか。

 

日本も領有を主張するなら、政府も中国のように、国際社会に向けて声明を繰り返すべきだろうし、国民に向けても歴史教育をしっかりするべきだろうと思います。メディアも部数稼ぎの扇動的な報道ではなく、国民の意識を高めるようなコンテンツを提供すべきだと思います。

 

中国の報道番組は比較的「淡々と報道」するのに対し、日本の報道番組は、特にワイドショーを中心に国民を洗脳する力がものすごく強い。にもかかわらず、国民はこの尖閣問題についての日本の立場を論理的に説明する能力が不足しています。それは理論よりも感情に訴える傾向が強いためだと思います。

 

領土問題については、領土問題は話し合いで解決するか、放っておくか、武力で解決するか、という選択しかないといわれます。今の日本にできることは粛々と国際世論に訴えることでしょう。

 

そのためにも国民教育なのだろうと思います。従来の右翼的、左翼的発想を超えて、本当の意味で国を愛することがどういうことなのか、領土を守りながらも日本経済を守ることがどういうことなのかをもう一度考えたいと思うこの頃です。