「洗練され、成熟した成人」になるためのプロセスか?

チャイナビズフォーラム10月開催の

「最悪の事態に陥った日中関係の今後を考える」に参加して

 

 

                                                                                              小沢 健造

 

いろいろと問題があることは認めつつも中国が好きで、仕事や生活を通して中国と深く誠実に関わっておられる「チャイナビズフォーラム」の参加者の皆さんの熱意に、感銘を受けました。この難しい変化の時だけに、今回タイミングよく参加させていただけたことを感謝いたします。

 

その中国に通じた皆さんが、今回の件を中国の大きな転換のスタートと捉えていらっしゃるのを聞いて、巨大でエネルギーに満ち、統一性がなく、プライドが高い一方、理念も失った中国が、どこに向かうのか、今後も注視していきたいと感じました。

 

中国の現状と今後の日中関係といったテーマは話が大きすぎて、門外漢の私にはなかなか理解できないので、国家の成長や課題も、個人の成長や課題と同じ相似形をつくるという仮説に立ち、シンプルなストーリーに置き換えて考えてみました。

 

今の中国は、伝統はありながら落ちぶれた地方の名家に生まれた青年が、不遇の幼少期を乗り越えて実業界にデビューし、どんどん成り上がり中枢に近づいていくドラマの過程にあるように思えます。

 

祖父母の代以前には召使であった隣人(日本)が、親の代になってやくざになり金と暴力で家族の生活とプライドを引き裂いていた(少なくとも彼の視点からはそう見える)ところ、今では力関係が変わったために復讐めいたものをしたくなるというのは、ある意味当たり前の話に思えます。

 

勢いに任せて、今は実業界で肩で風を切って歩き、政財界の重鎮もおいそれと手を出せなくなり、追い抜きそうな状況、というところにまで彼(中国)は来ています。

 

しかし、通常は必ずそこでつまずきます。それは現体制のルールでプレイする以上、それを長年かけて作り上げてきた人たちが確定した天井を突き破ることはが、なかなかできないからだと思います。

 

すると必ず停滞が起こる。老練な重鎮たちのしたたかな抵抗もある。そこをブレイクすることができなければ、人格的に成熟していない未熟な者は、急激に拡大した体の重みに耐えかねて、自ら身を滅ぼします。いいように使われていた近隣の取引先、社内の幹部や一般の従業員も離れていく・・・。

 

そういった経験を通して、周りとの協調とかやさしさといったものの重要性を理解していき、成熟されていくというのが、人間社会の1つのパターンのように思えます。

 

その壁をブレイクするには、新しい価値観・制度・技術・エネルギー等における大きな変革、特に生産効率の飛躍的アップが必要になるのだと思いますが、それは今のところ見当たらない。新しい枠組みで新しいゲームを始めるには賛同者が必要ですが、すでに停滞し、人望もなく、理念もない者が賛同者を得るのは簡単ではない。

 

また、協調・やさしさというのは、幼少期に虐待された人がそれに目覚めることが非常に難しいといわれています。そのような人は、壁にぶつかってそれを越えられない時は、融合や内省といった方向ではなく、破壊的方向に転換することが多いようです。

 

人間の内面は、生存本能・感情・損得勘定・論理・理念や理想・利他や無償の愛、と、いくつかのステージを段階的に成長し、洗練・成熟した成人であるほどこれらをバランスよく備えているように思います。

 

そうすると、彼(中国)のもともと持っている気質・幼少期の傷・刷り込まれた教育によるところは大きいですが、姫田先生のおっしゃるように「平和的価値観」に彼が気付くのは難しく、まさに「相当な時間」がかかるように思えます。