上海の鳥インフルエンザ、警戒感強める市民

                                姫田小夏

三連休明けの日曜日、今日は正常通りの「上班」となった。数日前と明らかに違うのは、「マスク姿」が増えたということだ。

 

大気汚染のPM2.5騒動では、上海市内でマスク人口はほとんどなかったが、今回はさすがに違う。「死に直結する恐怖」を強めているのだろう、「人から人への感染」の可能性は低いとされているが、ネット世代の若者を中心に警戒感を募らせている。

 

昨日、筆者も農産物市場を訪れたが、一番奥の家禽売り場はもぬけの殻だった。活きたニワトリやアヒルなどはこうした「市民の台所」で普通に売られていたものだが、早速処分されてしまったようだ。鶏肉は今、冷凍モノを買うしかない。

 

それにしても、どんどん「安心して食べられるもの」が減る。豚肉もダメ、鶏肉もダメ。筆者の蛋白源もいよいよ「豆乳」に限定されてきた。しかし、KFCなどこれからどうやって経営していくのだろう。タマゴも鶏肉も警戒され、こうした商売に依存してきた人々の生活も影響ナシでは済まされない。

 

さて、中国全土で鳥インフルエンザの患者と死亡者は増え続けている。

 

患者14人、死亡5人――(5日地元紙が報道)

患者16人、死亡6――6日地元紙が報道)

患者18人、死亡6――(7日地元紙が報道)

 

このうち上海での罹患は8人、死亡4人と非常に高い感染率と死亡率を示している。上海市では6人の患者のうち、4人が死亡している。いったい、どうなっているのか。因果関係がつかめないだけに不安は増す。

 

罹患者と死亡者は毎日のように増える。まるでSARSのときのあの悪夢を蘇らせるかのようだ。

 

ちょうど10年前の200343日、SARSが蔓延しているはずの北京で、衛生部の張文康部長(当時)が「SARSは有効に抑え込まれている、中国での仕事、生活、旅行は安全だ」と発言した。

 

しかし、それは虚言だった。世界保健機構(WHO)は327日に「北京は伝染病発生地区」と警戒していたにもかかわらず、だ。情報の隠蔽、SARSの残した教訓はこれだった。今回も同じ轍を踏まなければいいが。

 

さて、こうなるとうっかり風邪も引けない。高熱を出せばすぐに隔離病棟に押し込まれてしまうだろう。SARSの恐怖はこれでもあった。すなわち、往来が分断されてしまうことだ。

 

このまま収束に向かわなければ、外食も冷え込み、外出も規制されれば経済は大打撃を受ける。ただでさえ景気が悪い上海にさらなる追い打ちをかける形になる。国際間の人の移動も規制されるだろう。移動が規制されればグローバルな経済活動にも大きく影響する。

 

この先どうなるのか、まったく予想がつかないだけに、不安は募るが引き続き十分な観察と警戒が必要だ。