2014年11月14日、研究会「ミャンマー最新事情と日本企業」を開催

アジア・ビズ・フォーラム(AbF)は11月14日、メコン総合研究所の岩城良生副所長を講師にお招きし、日本企業の進出が急増している、ミャンマーの最新事情を語っていただきました。岩城良生副所長は四半世紀にわたり、ミャンマーと日本を往復し、日本企業の進出アドバイスや安倍昭恵さんらと始めた寺子屋教育支援活動など、多方面で活躍されています。2006年にミャンマーから日本に帰化され、10月には2日間で6万人が参加した「ミャンマー祭り」の運営に関わられました。

はじめに、岩城講師はミャンマーの国の特徴を述べられました。まだ所得水準はアジアで低位ですが、識字率が92%と高いのは、ビジネスを進める上での強みといえます。仏教徒のお布施を中心に運営される寺子屋制度が初等教育を補完しており、日本も25校の寺子屋支援を続けています。中国からの寺子屋支援はないようです。ミャンマー事業を進めるIT企業の参加者からも、「日本の江戸時代と同様に寺子屋で育った人材の質は高く、業務委託で出すのは失礼。パートナーとして検討している」との声がありました。ミャンマー駐在者がミャンマー好きになるのも、仏教徒の価値観に基づく良好な対日感情が育まれるせいかもしれません。日本のアジアにおける戦後賠償問題も、最初にミャンマーで決着したそうです。

折しも、前日にASEANサミットが首都ネピドーで開催されました。ミャンマーにおける好感度は米国、英国についで韓国が日本と並んでいますが、韓国文化の浸透は日本以上となっています。韓国ブランドのミニスカートが流行り、SIMカードの価格も1枚150円まで低下するなど、韓国の攻勢が顕著です。その一方で、最大の投資国、中国の人気は低いようです。日米両国首脳も訪問中でしたが、オバマ米大統領の人気が圧倒的でした。政府の中国警戒感もあり、米国からの投資増加が歓迎されています。米国や英国からの進出は市場志向の業種が中心ですが、日本は相変わらず「生産拠点」としか見ていない側面も浮き彫りになりました。

日本からの投資も過去数年で3倍に増加しています。ただし、ヤンゴン中心のオフィス・住宅の家賃がシンガポールの1.6倍へ高騰しており、頭痛の種となっています。日本が協力して開発されたティラワ工業団地も来年6月には稼働するほか、日本とミャンマー間の投資協定や租税条約も準備中であり、日本からの投資を後押しするものとみられます。

ミャンマーでは来年総選挙が予定されており、野党党首のアウンサンスーチー氏が大統領に就任するかが注目されます。残念ながら、彼女の強い英米指向に対して対日感は不透明で、日本の要人とのパイプも細いようです。


2014年7月2日、研究会「銀聯カードから見た中国人消費」を開催

 アジア・ビズ・フォーラム(AbF)は7月2日、銀聯国際(株)東京駐在員事務所の韦晓寅(ウエイシャオイン)首席代表を講師にお招きし、研究会「銀聯カードから見た中国人の消費」をエスカレラで開催しました。韦晓寅氏は1995年中国銀行寧波市支店に入行し、2000年に同志社大学経済学研究科に留学、UFJ銀行中国部勤務を経て、2006年から銀聯東京駐在員事務所の初代首席代表として活躍されています。

 韦晓寅講師には、銀聯カードの仕組み、国際シェア、普及度などを切り口に、訪日中国人旅行者の消費の特徴、日本市場における業務戦略など興味深い内容を語っていただきました。中国在勤経験者にはお馴染みの銀聯カードは、中国でデビットカード38億枚、クレジットカード4億枚発行され、世界145か国で利用されています。カード枚数で世界1位、取扱高で世界2位のシェアを誇っています。日本市場でも、訪日中国人旅行者の増加と共に成長し、加盟店は30万店を超え、ATM設置も7万台と外国カード会社中1位となっています。中国におけるカード決済率は、大都市で70%近く、平均でも48%と高く、中国はカード先進国といえます。手数料の安さも見逃せません。「海外キャッシングの為替手数料は国内銀行並み」や「手数料の上限設定」など、高額消費面で有利となるため、「カードで爆買い」も納得です。カードによる不動産や金融・証券投資の消費は禁じられていますが、巨額の外貨蓄積に直面する中国当局にとって、データが残るカード利用による外貨減らしは歓迎されているようです。

 後半は、皆さんから自己紹介を兼ねた所感が語られました。「高額商品の品揃えが不足している」「病院でカードが使えずシンガポールに医療客を奪われる」「通信環境(WiFi)が未整備との不満を聞く」などの実例が紹介されました。東京五輪開催まであと6年、日中インバウウンド・ビジネスの一層の発展に向けて、日本側のインフラ整備が望まれます。

 

2014年5月28日、「中国教育事情」研究会を開催

 アジア・ビズ・フォーラム(AbF)は5月28日、宮川暁人野村総合研究所上席コンサルタントをお迎えし、「中国教育事情」研究会を開催しました。

 宮川講師には、中国独特の教育事情の紹介と、当局の統制対象となる教育出版の事業化展開について、臨場感あふれる体験を語っていただきました。教育政策の基本は、「人事交流も含め共産党・教育部の密接な連携の下、学校教育の充実」にあります。「教育の産業化」は認めず、「教師は尊敬の対象」、という戦前の日本に近い状況で、学校授業により高度の教育水準を達成しています。共稼ぎの多い労働者にも優しい制度ですが、農民工子弟教育や大卒の就職難など教育面でも格差問題を抱えているようです。次いで、講師自身が携わったベネッセの教育事業を軌道に乗せたお話が紹介されました。業務運営の現地化徹底とネット通販の活用が成功の秘訣で、役所や関係先との関係も、「仲よく飛び込んでいき率直に話したため、悪い思いは一度もない」と、清々しく語られました。

 講演後は出席者の自己紹介とともに、「学校授業の内容」「競合先の存在」「新規参入可能分野」などの質疑応答や、参加者同士の活発な交流が行われ、今回も熱気あふれる知的議論の場となりました。

 

2014年3月27日、ベトナム・セミナーを開催

 アジア・ビズ・フォーラム(AbF)は3月27日、今井昭夫東京外国語大学大学院教授をお迎えし、ベトナム・セミナーを開催しました。

 姫田小夏理事長の中国の最新情勢報告に続き、ベトナム近現代史がご専門の今井先生は、「ベトナムの歴史、文化、人びと」をテーマに、中越関係の歴史、中国文化圏におけるベトナム文化、ASEANとベトナム、ベトナム・ワーカーの特質を中心に講演されました。

 中国、フランスからの支配、米国との戦争を経て、旧ソ連をモデルとした経済改革(ドイモイ)により、発展を遂げたベトナム。平均年齢30歳の若い国で、安定した政治・社会基盤をもつ国として、近年「チャイナ・プラスワン」のビジネス拠点として注目されています。講演後は出席者の自己紹介とともに、「ベトナム共産党の特徴は?」「カリスマ指導者は?」「経済発展の特色は?」「日本人気の理由は?」などの質問が寄せられ、今井先生を囲み、ベトナムの国情と社会について活発な意見交換が行われ、今回も熱気あふれる集いとなりました。

  AbFは昨年のバングラデシュ視察に続き、今年は7月にべトナム視察旅行を計画しております。興味深いベトナムを現地で肌にふれていただく絶好の機会です。是非みなさまのご参加をお願い申し上げます。

尚、次回の研究会は、5月28日(水)、中国ビジネスの実務、経営経験が豊富な、野村総合研究所の宮川暁人さんを講師にお迎えし開催する予定です。

 

AbFの「アジアビックリ鍋で新年会」を開催

元トヨタマンによるミニレクチャー「中国新車販売2000万台突破の行方」

 アジア・ビズ・フォーラム(AbF)は今年の第1弾として1月29日、新年会をエスカレラで開催しました。姫田小夏理事長の年頭あいさつに続き、お招きした、ものつくり大学名誉教授で元トヨタマンの田中正知氏に、「中国の新車販売2000万台突破」を切り口に、中国の自動車市場の展望を語っていただきました。「自動車産業が成長するには米国のようにトラックと乗用車の需要が半々必要だが、中国では期待薄」「自動車先進国ではセダン保有は一家に1台だけ」「中国は7割が乗用車生産で、作りすぎ。やがて乗用車は売れなくなり自動車産業の淘汰が始まろう」と率直な見解が語られました。中古車や修理部品から車を作る板金メーカの存在など、先進国が悩む中古車市場が中国ではどのように発展するかも注目されます。話題はトヨタ生産方式(TPS)に移り、参加者からの質問も途切れることなく、議論が白熱しました。「TPSの現場改善運動ばかりが注目され、経営層の意識改革面が忘れられがち。世界の企業は熱心に研究するが、日本企業ももっと勉強してほしい」と強調されました。

 後半は、皆さんから自己紹介を兼ねた所感が語られました。日中メディア報道の差、ベトナム進出、ITビジネスのアジア展開など話が弾みました。「アジアびっくり鍋」も大好評でした。タイ風の味付けをベースにした酸味の利いたサバは、“目からウロコ”ものでした!エスカレラ・ママさん、ありがとうございました。

 

 次回のAbFは、「ベトナム」をテーマに3月下旬開催予定です。ご期待ください。