イスラーム社会の日本人を見る眼は概ね良好

~イスラーム社会の人びとと強く深い関係を築くためのポイント~

 

            国際ビジネス研究所 シニアコンサルタント

              木下宇一郎

 

一口にイスラーム社会と言ってもその実態は多様性に満ちています。豊富な石油・ガス資源を有効活用して経済発展がみられるアラビア湾岸諸国やインドネシアやマレーシアなどのアジア諸国と、資源はあってもリビアのように国内の政治経済に大きな問題を抱える国々、さらには非産油国で貧困にあえいでいる国々では人びとの国際感覚や生活レベルが大きく異なっているのが現状です。

 

しかし周知の通りイスラームでは唯一神アッラーの啓示の書クルァーン(コーラン)と預言者ムハンマッド(モハメッド)の言行録がイスラーム教徒(ムスリム)の行動すべてを律していることはどの国においても変わりはありません。

 

一方、日本は先進国の中でも宗教音痴と言われるほどとりわけ宗教に対する意識が薄い国とされています。もちろん歴史的には仏教をはじめ神道など様々な宗教が人びとの生活に大きな影響をもった時期もありますが、最近では宗教に対する関心が低く宗教的タブーなどの行動制約が極めて少ないことが日本の経済発展の理由の一つとされるほどです。

 

ムスリム人口は近い将来世界人口の25%以上になると予測され、またイラン革命やアラブの春に続くイスラーム政党勢力の拡大などに見られるようにイスラームは中東のみならず世界的にその影響力を年々強めています。

 

そのムスリムと良好なビジネス関係を構築・強化して互恵的関係を永続させるため基本的に必要なことは、まず宗教を軽視せずイスラームがどんな教えなのかについて最小限の知識を持って客観的に認識することでしょう。

 

そして彼らの考え方や行動パターンの源がほとんどの場合イスラームの教えに基づいていることや、彼らが重視する宗教的タブーについても異教徒なりに理解して敬意を示し、その遵守の妨げにならないように心すべきでしょう。

 

さて、イスラーム社会、とりわけ中東諸国での一般的傾向として日本や日本人に対するイメージは幸いなことに概して良好です。日本は歴史上中東諸国との関係が比較的希薄で、欧米諸国のように宗教対立、植民地化、資源奪取、侵略戦争などネガティブな関わりがまったくなく、外交的にも特に大きな対立などがないことがその理由と考えられます。

 

欧米との戦争に敗れたにも関わらず戦後高い技術力と勤勉によって目覚ましい経済発展を遂げ世界有数の経済大国となった無資源国日本、さらに能力を十分に持ちながら他国に対して武力行使をしない非戦国日本と言うイメージが強いことなどで現地の人々が日本人に対して示す親近感は非常に強いと言えます。これは我々日本人が余り意識しないことですがビジネス関係構築の際には自信を持ってこの点を大いに活用すべきと思います。

 

最近アルジェリア天然ガス関連施設でイスラーム過激グループのテロ攻撃により日本人技術者などが多数殺害されると言う痛ましい事件が発生しましたが、これは近隣国マリの国内騒乱に対する仏の軍事介入への報復として欧米人など外国人を対象にしたものと思われ、日本人の方々はそれに巻き込まれたとも見られます。

 

ただ一部の報道にある通り、近年日本が欧米の対イスラーム軍事行動を支援する国として認識され日本人もテロの対象となる懸念が大きくなっていると言われます。大変に残念なことですが、これからもテロの背景である貧困などの経済的課題に日本の官民が地道に取り組んで行くことでイスラーム社会により一層評価され、ビジネス面を含め関係強化が図れるのではないかと考えます。

 

2012年

10月

16日

「洗練され、成熟した成人」になるためのプロセスか?

チャイナビズフォーラム10月開催の

「最悪の事態に陥った日中関係の今後を考える」に参加して

 

 

                                                                                              小沢 健造

 

いろいろと問題があることは認めつつも中国が好きで、仕事や生活を通して中国と深く誠実に関わっておられる「チャイナビズフォーラム」の参加者の皆さんの熱意に、感銘を受けました。この難しい変化の時だけに、今回タイミングよく参加させていただけたことを感謝いたします。

 

その中国に通じた皆さんが、今回の件を中国の大きな転換のスタートと捉えていらっしゃるのを聞いて、巨大でエネルギーに満ち、統一性がなく、プライドが高い一方、理念も失った中国が、どこに向かうのか、今後も注視していきたいと感じました。

 

中国の現状と今後の日中関係といったテーマは話が大きすぎて、門外漢の私にはなかなか理解できないので、国家の成長や課題も、個人の成長や課題と同じ相似形をつくるという仮説に立ち、シンプルなストーリーに置き換えて考えてみました。

 

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2011年

5月

14日

日本流のサービス、中国ではどう受け止められているのか?

                      ショップアドバイザー 島田ともこ

【島田 ともこ プロフィール】

中国歴20年。現在、中国の日系企業で販売店舗全般に関する業務に従事。店舗設計の図面チェックやディスプレイ(ハード 面)から、 販売員の接客サービス(ソフト面)までをトータルでサポート。日中の文化やメンタリティの違いを重視し、地に足ついた日中ビジネスを展開中。 

 

私が全国各地のお店を視察する中で、とても心に残る中国人販売スタッフが何名かいました。今回はまず、彼女たちが実践している中国流サービスについてご紹介しましょう。

 

ここまで来たか、中国流サービス!

 

 A店長は高校卒業後に小売業に従事し、すでに14年のキャリアを持つ大ベテラン。第一印象は「怖い」。売場での彼女はテキパキと仕事をこなしていくタイプなのですが、笑顔がなく、2時間おきくらいにレジで売上を確認する、いわゆる数字重視型の店長です。売上に敏感で、貪欲であるのは非常に関心だけど、どんな接客するのか・・・かなり不安気な私を横目に、彼女は見事な中国流サービスを披露してくれました。

 

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2011年

5月

10日

中国のファッションビジネス

                 中国ファッションビジネス評論家 サダ ナオコ

【サダ ナオコ プロフィール】

 大学卒業後、イタリア高級紳士服ブランド、エルメネジルド・ゼニアグループの日本法人に入社。本社のリテイルオペレーションを学ぶため、2 年間イタリア ミラノで研修。帰国後、東京の第一号フラッグシップショップ開店プロジェクトを担当。その後、中国、香港、台湾地区マーケットのマーケティングマネー ジャーなどシニアマネジメントとして勤務。中国では、1992年からハイ・エンドブランドマーケット開拓に携わる。2008年大阪にサダオペ レーションコンサルティング株式会社を設立しビジネスコンサルタントとして独立。

 

 私はハイエンド・ブランドと言われるイタリアメンズファッションブランドビジネスに30年近く携わってきた。

 ハイエンド・ファッションブランド(高級輸入服飾品)とは限られた富裕層を顧客層とする隙間産業であり、ビジネスの中ではマイノリティと言ってよいだろう。現在の世界不況の中、世界中の大部分のマーケットで大苦戦を強いられている分野でもある。

しかし、ハイエンド・ブランドはマイノリティであることに存在価値がある。

 ハイエンド・ブランドは顧客に「いつか手にしたい最高の逸品」というあこがれの気持ちを抱かせ、それを持つことによって充足感を満たしてもらえる対象でなくてはならない。つまり、誰もがいつでも手に入れることのできる物ではないことにその存在価値があると言っていい。そこには品質・デザインはもちろんのこと、そのブランドの持つ歴史やイメージ、逸話など、目に見えない希少な付加価値がなくてはならない。

 

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